【検証】モーターのブレークイン

ライトダッシュモーターPRO(10個、ブレークイン済み)

モーターのブレークイン(モーター慣らし)の方法によって、どれぐらいスピードに差が生まれるのか、検証してみました。


ブレークインの方法次第で、モーターの速さが変わる?!

ブレークインは、モーターとギヤを慣らし運転させて、ミニ四駆がスムーズに走るように、仕上げる方法です(モーター慣らし&ギヤ慣らしの総称)。
> ブレークインについては、「ブレークインをマスターしよう!」を参照。

モーターのブレークインには、色々な方法があります。 管理人が見聞きした範囲では、
「モーターの正回転/逆回転を、繰り返し行う」
「モーター慣らし機を使って、モーターを回す」
「3Vより高い電圧をかけて、モーターを回す」
「ミニ四駆ごと冷凍庫に入れて、24時間回す」
などです。

これは、ブレークインの方法によって、モーターの速さが変わる(と考えられている)からです。

2つのハイパーダッシュ2モーター

ミニ四駆の本には、新旧問わず、モーターのブレークインについて書かれています。 ただ、その内容は、まちまちです。 去年(2013年)に発売された「ミニ四駆超速ガイド2013」では、「使いかけの電池で、モーターを回し続けて、熱くなったら止める」といった旨の記載にとどまっています。
> ミニ四駆超速ガイド2013については、「ミニ四駆超速ガイド2013」がすごい3つの理由」を参照。

ミニ四駆関連書籍たち

もし、ブレークインの方法次第でモーターの速さが変わるのなら、効果的な方法で行いたいですよね。

そこで今回は、ブレークインの方法によるモーターの性能差について、検証してみます。 検証方法は、次のとおり。

【検証方法】
  • ライトダッシュモーターPROを、違う方法でブレークインして、走行タイムを計測する。
  • 計測は、スピードチェッカーのタイムアタック機能で行う(走行距離は300メートル)。
  • 新品のアルカリ電池を使用する(ライトダッシュモーターPRO交換毎に、電池も交換)。
  • ライトダッシュモーターPROを交換毎に、グリスをつけ直す(条件を公平にするため)。

ライトダッシュモーターPRO」は10個使用。 モーターの識別ができるよう、①から⑩のシールを貼ります。

ライトダッシュモーターPRO(10個、ブレークイン済み)

ブレークインは、次の5つの方法です。 モーターの個体差(スピードの違い)を考慮して、2個1組で、同じ方法のブレークインを行いました。

【モーターとプレークイン】 ※プレークインには、新品のアルカリ電池を使用。
グループ
(番号)
ブレークイン 電圧 インターバル
(休み時間)
A(①、②) 正回転5分、逆回転5分、正回転5分
※合計3回
3V 5分
B(③、④) 正回転5分+逆回転5分を、3セット
※合計6回
C(⑤、⑥) 正回転5分を、3セット
※合計3回
D(⑦、⑧) 正回転1分+逆回転1分を、5セット
※合計10回
6V 3分
E(⑨、⑩) 正回転10分、逆回転10分、正回転10分
※合計3回
1.5v 10分

モーターのブレークインの方法のイメージ

電圧3Vと1.5vのブレークインは、ミニ四駆のシャーシで行いました(1.5vは電線を使用)。 また、電圧6Vのブレークインは、タミヤから発売されている「単3電池ボックス(1本用×2・逆転スイッチ付)」を使って行いました。

モーターのスピードを正確に計るため、「ミニ四駆スピードチェッカー」で計測します。 また、多少の誤差が出るのを考慮して、タイムアタックは3回ずつ行います。 アルカリ電池もバッチリ用意して、いざ、検証スタートです!

ミニ四駆スピードチェッカーと計測用のワークマシン検証で使うアルカリ電池たち

検証の結果、見えてきたもの

1個のモーターにつき、タイムアタックは3回ずつ、2分間の小休止で行いました。

スピードチェッカーで走行タイムを計っているところ(1回目)スピードチェッカーで走行タイムを計っているところ(2回目)スピードチェッカーで走行タイムを計っているところ(3回目)

結果発表です。

【検証結果】 ※ブレークインの方法の違いによるモーターの性能比較
グループ 番号 1回目 2回目 3回目 合計 順位
57秒09 56秒06 57秒09 170秒24 6位
55秒78 54秒31 54秒28 164秒37 3位
54秒40 55秒93 55秒21 165秒54 4位
55秒18 57秒68 55秒06 167秒92 5位
56秒50 58秒68 56秒56 171秒74 7位
57秒34 59秒87 57秒93 175秒14 8位
49秒81 50秒21 50秒71 150秒73 1位
50秒37 50秒53 51秒84 152秒74 2位
64秒18 64秒81 61秒03 190秒02 9位
63秒75 70秒00 67秒53 201秒28 10位

上記の結果を、グループ単位(ブレークインの方法ごと)で集計してみます。

【集計結果】 ※ブレークインの方法の違いによるモーターの性能比較
グループ
(番号)
総計 ブレークイン 電圧 インターバル
(休み時間)
A(①、②) 334秒61 正回転5分、逆回転5分、正回転5分
※合計3回
3V 5分
B(③、④) 333秒46 正回転5分+逆回転5分を、3セット
※合計6回
C(⑤、⑥) 346秒88 正回転5分を、3セット
※合計3回
D(⑦、⑧) 303秒47 正回転1分+逆回転1分を、5セット
※合計10回
6V 3分
E(⑨、⑩) 391秒30 正回転10分、逆回転10分、正回転10分
※合計3回
1.5v 10分

比較してみると、モーターが速くなるブレークインの方法について、ある一定の傾向が見えてきます。 特に、電圧を高くしてブレークインすると、かなり速くなるようです。

【モーターが速くなるブレークインのポイント】
  • ★かける電圧は、高い方が速く、低い方が遅くなる。
     →グループA、D、Eの比較(E<A<D)で判明
  • ★正回転だけでなく、逆回転もさせた方が速くなる。
     →グループAとCの比較(A>C)で判明
  • ☆モーターを回転させる合計時間は、ほぼ関係ない。
     →グループAとBの比較(A=B)で判明

今まで使っていたライトダッシュモーターPRO(10ヶ月以上前に購入、適当にブレークイン)も計測してみたところ、次の結果となりました。

【検証結果】 ※従来のライトダッシュモーターPRO
1回目 2回目 3回目 合計
53秒53 54秒15 54秒75 162秒43

使い込んでいるので、それなりに鍛えられている感はありますが、電圧6Vでブレークインしたモーターには及びませんでした。


実際、過去に別の種類のモーターをブレークインした時も、電圧を高くした方が、速く仕上がりました。 手持ちの「ハイパーダッシュモーターPRO」で1番速いのは6V、2番目に速いのは9Vでブレークインしたものです。

ただ、12Vや15Vでブレークインしたモーターは、かえって遅くなってしまいました(>_<) かける電圧は、あまり高過ぎてもダメなのかもしれません。

速いミニ四駆には、速いモーターが使われている

公式大会では、ものすごい速さでビュンビュン走るミニ四駆を、たくさん見ることができます。 その光景を見て、
「あのミニ四駆、すごく速いなぁ。。。 どうしてあんなに速いんだろう?」
「こっちも同じモーターなのに、こんなにスピードが違うのは何故だろう?」
と、疑問に感じたことはありませんか?

ミニ四駆グランプリ東京大会の様子その1ミニ四駆グランプリ東京大会の様子その2

その謎の1つが、ミニ四駆の同人誌「ミニ四駆神テクチューニングガイド」と「神テクチューニングMk2」にあります。

ミニ四駆の同人誌(神テクチューニング)

この本では、
「1分間で23000回転するアトミックチューンモーター(*1)」
「ライトダッシュモーターPROよりも速い、トルクチューンモーターPRO(*2)」
「袋からあけたばかりの状態で、1分間で25000回転するハイパーダッシュ2モーター(*3)」
といった、とんでもない性能を誇るモーターを、トップレーサーたちが手にしているという情報が、公開されています(すごいですよね)。

  • *1:アトミックチューンモーターの回転数は、通常13700〜16200回転(1分間)。
  • *2:トルクチューンモーターPROの回転数は、通常12000〜14300回転(1分間)。
      ライトダッシュモーターPROの回転数は、通常14600〜17800回転(1分間)。
  • *3:ハイパーダッシュ2モーターの回転数は、通常17200〜21200回転(1分間)。

つまり、桁違いにミニ四駆が速いのは、モーターが格段に速いからなのですね。 モーターの質が、そもそも違うわけです。 ミニ四駆の速さが違うのは、他にも理由はありますが、これが1番の理由でしょう。

「ミニ四駆が速いのは、モーターが速いから」
シンプルで分かりやすい理屈ですね。

ミニ四駆の速さは、モーターと電池で決まる

モーターのブレークインについての具体的な方法(使う機器・回し方・回す時間など)は、なかなか見聞きされません。 それはモーターが、ミニ四駆の速さに最も関係するパーツだからです。

ミニ四駆グランプリ2014東京大会の様子その1ミニ四駆グランプリ2014東京大会の様子その2

「ミニ四駆を速くするには、セッティングが云々(うんぬん)」
という話が言われますが、(モーターと電池を除く)パーツのセッティングが関係するのは、ミニ四駆の速さよりも完走タイムです。

ミニ四駆グランプリ東京大会の様子その3ミニ四駆グランプリ東京大会の様子その4

ミニ四駆のパーツを、
①モーター、
②電池、
③その他、
の3つに大別した場合、①②が速さ全体の7割を占めます。

ミニ四駆における各パーツの速さの比率

③にも、軸受けボールベアリングやゴールドターミナルなど、スピードアップするパーツはいくつかありますが、それらはせいぜい3割程度。 マスダンパーやブレーキなど、スピードダウンさせる代わりにミニ四駆を安定させて、結果的に完走タイムを短くするパーツが大半です。

ミニ四駆グランプリ2014東京大会の様子その3ミニ四駆グランプリ2014東京大会の様子その4

極端に言えば、ミニ四駆の速さはモーターと電池でほぼ決まり、その他のパーツは「おまけ」みたいなものなのです(電池については、別の機会に記事を書きます)。 モーターの質の違い・ブレークインの方法について話が及ばないのは、速さの秘密の核心に迫る事項だから、というわけです。

※11/21追記 充電器によって、ネオチャンプの性能も変わります。 詳細については、次の記事を参照してください。
> 「充電器を使いこなそう!
> 「【検証】充電器

速いモーターに仕上げるノウハウを話すのは、ラーメン屋さんに例えれば、他人にスープの作り方を教えるようなものです(もし、そんなことをしたら、商売にならなくなりますよね)。 速いモーターに仕上げるノウハウは、速いミニ四駆を駆(か)るレーサーにとって、門外不出、秘伝中の秘伝なのです。


ちなみに、完走タイムはセッティング(パーツの組み合わせ)で決まります。 速さと完走タイムの違いを、次に示します。

【ミニ四駆の速さと完走タイム】
説明 関係する要素
速さ ミニ四駆がいちどに走る量(距離) モーター + 電池 + 一部のパーツ
完走タイム スタートしてゴールするまでの時間 速さ x セッティング(パーツの組み合わせ)

ペラタイヤを作ってみよう!」の記事のとおり、やみくもに速さ(最高速度)を重視しても、早いタイムで完走するとは限りません。 レースでは、モーターと電池が生み出す速さを、いかに効率良く発揮させるか(コーナーで大きく減速させない、アップダウンの着地を安定させてロスを無くす、コースアウトさせない、など)が重要で、その鍵を握るのがセッティングです。

決戦用モーターを、手に入れよう!

決戦用モーターは、手持ちの中で、1番速いモーターです。

以前の記事「そのモーターは、もしかしたら、遅いモーターかもしれない」で触れたとおり、同じ種類のモーターでも個体差(スピードの違い)があります。 「当たりモーター」と呼ばれる、標準的な性能よりも、スピードが速いモーターもあります。

そこで、同じ種類のモーターを、何個か持つようにします。 1番速いモーター(決戦用モーター)は、大会直前の練習走行や、レースの場面だけで使います。 そして、2番目以降のモーターを、普段の練習走行や、決戦用モーターではコースアウトしてしまう場面で、使うようにするのです。

モーターケースの中

管理人のモーターケース。 ハイパーダッシュ2モーターは複数用意して、場面ごとに使い分けている。 モーター側面にシールを貼って、識別可能にしている。

どんなにミニ四駆を改造しても、モーターの性能を越えて、速くなることはありません。 モーター・電池以外のパーツは、抵抗を減らす効果によって、ミニ四駆をスピードアップさせる(速さ自体が増すわけではない)からです。 ミニ四駆を速くするには、改造だけでなく、高性能なモーターも必要なんですね。

もし、決戦用モーターを持っていない場合、次の方法を実行してみてください。

  • 時々、モーターを複数(3個単位とか)買う。
  • 今まで使っていたモーターと比較する。 ※スピードチェッカーやコースを走らせて計測

お勧めは、回転数とトルクのバランスが良い「ハイパーダッシュ2モーター」や「ハイパーダッシュモーターPRO」です。 他のモーターは、余裕があったら試してみましょう。

ミニ四駆スピードチェッカーで計測しているところモーターの選別をしているところ

ストップウォッチコースで走らせてタイムを計る場合は、ストップウォッチや、タミヤのストップウォッチアプリ(無料)を活用しましょう。

【タミヤのストップウォッチアプリ 紹介ページ】
 URL:http://www.tamiya.com/japan/cms/newstopics/2250-newstamiyastopwatch.html

運が良ければ、前述の「当たりモーター」が手に入ることもあります。 ブレークインも、色々試してみると、効果的な方法が見つかるかもしれません。 以前の記事「モーターの性能が下がってしまう4つの原因」で触れたとおり、性能を落とさないようミニ四駆を走らせて、モーターを育成するのも有効です。

アイス(ガリガリ君)の当たりタミヤプラモデルファクトリー新橋店のコースの様子

これらを繰り返し行えば、より高性能なモーターを手に入れることが、できるでしょう。


前述の「モーター慣らし機」について、熟練の模型屋さんに聞いたところ、とても高価な機械なのだそうです。

「モーター慣らし機に数万円も払うぐらいなら、そのお金をミニ四駆に使いたい」
と思ったので、前述の「単3電池ボックス(1本用×2・逆転スイッチ付)」を活用して、モーター慣らし機を自作してみました(電圧6Vで回すには、2セット必要です)。

自作のモーター慣らし機その1自作のモーター慣らし機その2

付属の逆転スイッチが優れもので、スイッチのオン/オフ、モーターの正回転/逆回転を、電池を入れ換えることなく簡単に切り替えできます。

逆転スイッチの先には「ペインティングスタンド用ワニグチクリップ(4個)」を取り付けて、モーターのブラシを挟む仕組みにしています。

モーター慣らし機とモーターの接合部分

私が試した中で、最適なブレークインの方法は、この自作のモーター慣らし機を使って、
 電圧6V(アルカリ電池4本使用)、
 正回転と逆回転を、交互に5回ずつ、
 1回あたりの回転時間は、1分以内、
 インターバル(休み時間)は、3分、
です(グループDと同じ方法)。 この方法でブレークインした「ハイパーダッシュ2モーター」と「ハイパーダッシュモーターPRO」が、手持ちのモーターの中では最速です。
※6/26追記 インターバル(休み時間)は、気候によって調節。 3分経過してもモーターに熱がある場合は、延長した方が良い。

これまで、速いモーターになるブレークインの方法を突き止めるべく、実験を重ねてきました。 仕上がりが良くなることもあれば、失敗してダメになったこともあります。 でも、その経験があったからこそ、今回の記事を書くことができました。 時間もお金もかかりますが、より効果的なブレークインの方法がないか、今後も模索するつもりです。

今までの検証で使ったハイパーダッシュ2モーターたち

効果的なブレークインの方法を見つけ出すため、テストで使ったモーター群。 かえって性能が下がってしまったモーターもあるが、使い道があるので保有している。

あなたもぜひ、効果的なブレークインの方法を、研究してみてください! 速いモーターを手に入れれば、お気に入りのミニ四駆を、ビュンビュン走らせることが出来ますよ☆

以上、モーターのブレークインの検証でした(^-^)


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